【終了】【403_須藤凧屋】六角巻凧発祥の地、三条。疫病退散の願いを込めた凧を大空へ

毎年6月の第1土曜・日曜に開催される三条凧合戦(いかがっせん)。昨年は三条マルシェとコラボを実現し、2日間で述べ4万人を動員。今年はさらに盛り上がりを見せることが期待されていました。

しかし、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、中止という判断を余儀なくされました。観客の感染リスク対応、合戦に出場し凧を揚げる人たちの安全も確保できる環境を作るには現状では難しかったと三条凧協会会長で須藤凧屋代表 須藤謙一さんはいいます。「凧合戦は中止にはなったが、地域のために六角凧で地域を元気づけられないか」と協会で話し合い、5月16日に疫病退散の願いが込められた六角凧が三条の空に揚がりました。



370年以上続く凧合戦の歴史

三条の凧合戦の歴史は古く、慶安2(1649)年に三条に村上藩の陣屋が置かれたころから始まります。村上藩からは旧暦の端午の節句、現在の6月に凧(いか)揚げをすることが奨励され、町民と陣屋で凧をあげて競っていたと言います。当時はまだ六角ではなく江戸凧と言われる四角凧を揚げていました。しかし、陣屋と町民で同じ形の凧を揚げていても、陣屋の凧はどうしても大きいものになってしまうので、町民は負け続き。どうやったら小さくても大きい凧に勝てるのかと考え、町民のアイディアで生み出されたものが六角凧でした。

六角凧は少ない風でも揚げることができ、操作性も優れているので激しい空中戦に可能に。小さい凧でも勝ちたいという想いと工夫から作られた六角凧で町民の勝利が続き、次第に陣屋も六角凧を揚げるようになり三条では六角凧が広く知れ渡りました。



三条で唯一、凧を作り続ける「須藤凧屋」

弘化4(1847)年に創業し、今年で173年目になる「須藤凧屋」。凧の最盛期でもあった昭和の初め頃には凧屋は11、12軒ほどあったそうです。しかし、後継者不足や火事など様々な事情で廃業を余儀なくされ、現在三条に残っているのは「須藤凧屋」の1軒のみとなってしまいました。

三条の凧は六角巻凧とも呼ばれ、凧を支える棒を取り外せば丸めて持ち運ぶことができます。この持ち運びに便利で携帯性の良いという特徴は三条の産業にも強く結びつき、金物を卸す商人が全国に凧を持って売っていたという記述もあるほどです。


そんな地域と強い結びつきのある凧合戦を中止する決断は悔しさが残ったと須藤さんはいいます。

「凧合戦に参加する人たちは、自分の組の揚げ師が凧を揚げやすいように密集して自分たちのルートを確保します。仲間への指示や糸が絡んだかと判断するにも声を張り上げているので、そこに迫力があり見どころでもあります。しかし、今年は感染の危険性が拭えないと中止の判断をしました」


疫病退散の想いを込めた凧は大空へ

三条伝統行事である凧合戦が中止になるのは雨天で中止となった昭和53(1978)年以来、42年ぶり。3月末には中止の決定がなされましたが、凧協会でも地域のために何かしたいとしたいと想いで一枚の六角巻凧を作りました。

五十枚張(2850cm×2120cm)の凧に、中国の民間伝承に伝わる鍾馗(しょうき)と言われる神様を描き、赤い文字で疫病退散と大きく書かれた凧。鍾馗は魔除けや疫病除けとして崇められている神様でもあり、新型コロナウィルスの沈静化に願いを込めたそう。

密にならないように凧協会の数名で八幡宮に祈祷してもらい、凧合戦の会場にもなっている三条防災ステーションで凧を揚げました。この日はいい風が吹いていたので、凧は空に高く上がったそうです。



三条の六角凧をもっと身近に。知って、揚げて、見にきて欲しい

年間の売り上げの8割が凧合戦用の凧を作ることだったと須藤さん。今回の凧合戦の中止は大打撃だったといいます。

しかし、新たな需要も生まれました。合戦に使う凧とは違い小さく、揚げやすいサイズの凧の注文が昨年より増加したそうです。

「合戦はなくても、凧を揚げたいからと自分用に作って欲しいとの依頼が増えました。そのほかにも家に飾りたい、離れて住んでいる人にプレゼントしたいなど今までにない需要が増えて驚いています」。

今回の三条つなぐプロジェクトでの支援を受け、さらに新商品の開発にも着手したいと意気込みを見せる須藤さん。毎年、凧合戦の時期に企業さんが自社の名前の入った凧を入り口に飾るなど地域を六角凧で盛り上げることができないかと考えているそうです。


「外に飾ってもらうなら防水の加工ができないか、縁起物としてもっと認知してもらえるように試行錯誤していきたいです。そして凧に興味を持って自分でも揚げてみたい、合戦も見に行きたいなどもっと広がりができるといいなと思っています」

プロジェクトでは1万円以上の寄付で五枚張(76.5cm×62.5cm)の六角凧をプレゼント。五枚張は子供でも簡単に揚げられるサイズで川風の吹く広いところで気軽に楽しめます。デザインは須藤さんのおすすめのものをお送りするので届いてからのお楽しみに。


【プロジェクト期間】
 2020年6月〜2020年12月末日


【目標金額】
 300,000円

 ・支援額 110,000円(9月15日現在)

 ・達成率 36.7 %


【リターン】
1万円以上の寄付で五枚張(76.5cm×62.5cm)の六角凧をプレゼント

(絵柄はおまかせになります)


【お問い合わせ先】

須藤凧屋
住所:新潟県三条市東裏館2丁目2−16
電話:0256-33-0616
営業時間:9:00〜18:00
定休日:月曜日・その他不定休あり

※三条凧合戦

開催日:6月第1週土曜、日曜(毎年)
場所:三条防災ステーション



三条つなぐプロジェクト

大好きな三条市がこの先も維持、発展し続けられるよう「三条つなぐプロジェクト」により、応援したいという善意と、新型コロナウイルスの影響という困難を乗り越えて明日を切り拓こうと頑張る方たちをつなぎます。

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